糸魚川病院でのベッドサイドフィジカルクラブ
恒例となってきましたが、今回もベッドサイドでの教育回診。
意識障害を主訴に救急搬入された50代女性の回診でした。
推論の結果、栄養障害によるウェルニッケ脳症だろう。との診断になりました。
今回、来院時の意識はJCS3群で本人に指示が入らないので、診察は容易ではなかったものの、研修医の先生は左目が外転していることを見逃しませんでした。
ウェルニッケ脳症と言えば・・・
臨床をしていると意識障害や、不穏の患者を推定して、ウェルニッケコルサコフ症候群を想起しがちじゃありませんか?または、千鳥足で歩けないような印象がありませんか?
古典的三徴は・・・
①脳症
②失調性歩行
③眼球運動障害と言われています。
今回は眼球運動がど~~~しても気になったので調べてみました。
Up to date では以下のように説明されています。
Nystagmus, lateral rectus palsy, and conjugate gaze palsies reflect
lesions of the oculomotor, abducens, and vestibular nuclei. Ocular abnormalities usually occur in combination rather than alone.
Nystagmus is the most common finding and is typically evoked by horizontal
gaze to both sides .
Vertical nystagmus can also occur, usually evoked by upward, rather than downward, gaze. Rotatory and vertical nystagmus alone are uncommon. Lateral rectus palsy is virtually always bilateral. Vertical gaze palsies are less common than conjugate gaze palsies, and isolated vertical gaze palsy, internuclear ophthalmoplegia, and complete ophthalmoplegia are rare. Pupillary abnormalities, usually sluggish or unequal pupils, may be present. A light-near dissociation is sometimes seen. In advanced cases, there may be complete loss of eye movements with miotic, nonreactive pupils. Ptosis is uncommon.
水平性眼振、下方ではなく上方の垂直眼振が特長。瞳孔不同が存在することもあるが、眼瞼下垂はまれ。こんな感じで説明されており、Pubmedでも検索してみたのですが、数で評価した論文にたどり着きませんでした。がやはり眼球の所見は頻度は低いようです。
今回の回診は入院翌日でしたが、救急外来でビタミン投与直後から意識状態は改善し、眼球運動も改善していました。失調性歩行のみ残存していました。
皆さんもウェルニッケ脳症を疑う患者さんを診る場合、眼球運動に注目してみませんか??