フィジカルクラブとは?
はじまり~Why?
医師はそもそも、患者に手をあてて医療を行ってきました。しかし、身体診察が軽視されてしまうようになったのはいつ頃からなのでしょうか。
血圧計の普及が始まったのが約100年前のことです。この100年間は激動の医療機器開発の時代だったと言っても過言ではありません。現代の医療レベルから過去の医療を振り返ると、確かに無力だったと言わざるをえません。
Luke Fildes (1843–1927)が描いた、「医師」という有名な絵画です。病床に伏した幼い子供を前に、医師は悩んだ姿が描かれています。
医師は、患者のそばから逃げず、患者・家族とともに悩む存在である。
医療技術が進んだ現在、この姿勢で取り組む医師がどれくらいいるのでしょうか。どのようにしたら患者さんのそばで悩むことができるのだとろうか? 検査優先で患者さんの気持ちが置いていかれる医療が進んでしまっている現状を変えることが、『身体診察の教育』でした。
ムーブメントを起こすこと~How?
「身体診察を丁寧に行うこと」=「手あての医療を実践すること」患者さんに診察を丁寧に行うと、患者さんの心が救われることがあります。子供の頃、"あたまが痛くて母親に泣きついたときに母親からあたまをさすってもらって痛みがなくなった”ような経験はありませんか?お子さんをお持ちの方ならよくわかると思います。
「身体診察(=手あて)」は単に診断のためのツールではありません。
身体診察を学ぶ前提に「手あて」のチカラをまずは意識すべきなのです。どのようにしたら患者さんの苦しみを癒やせるのか?を真剣に考えるのです。
では、どのようにしたら身体診察のチカラを日本中、世界中にもう一度広げることが出来るのでしょうか?
私は、「ムーブメントを起こすこと」が重要であると考えました。そのためには、学習した参加者が発信者になることです。既存の学習方法・教育方法をもう一度見直す必要があったのです。講師が生徒に教える教育方法では、理解は出来ても実践に繋げるのは簡単ではありません。授業がうまい先生の話を聞いて、納得はしたものの、1週間もするとその内容を忘れてしまったということは誰しも経験したでしょう。
部活動で学ぶ~What?
新しい学びのカタチ、それが「部活動で学ぶ」という方法です。身体診察は医師と患者のカラダのぶつかり合いです。必要なのはノートやペンではなく、カラダなのです。そして、部活動をやったことのある方なら覚えているかと思います。
あの、楽しさ、感動、そして情熱を!
身体診察(手あて)で患者を癒やすために最も重要なのは、情熱なのです。
展望~Dream
手あての医療で溢れるセカイを目指して
この夢を実現のために、2012年に「フィジカルクラブ」の活動を開始しました。
1人でも多くの医療者が身体診察を大切にし、1人でも多くの患者さんが身体診察を医療者と共有できるセカイ。これがフィジカルクラブの夢です。
医療者だけか身体診察の大切さを学べばいいのではありません。患者さんも医療者と真っ正面から向き合い、"病気”という敵と戦いを挑んでいく必要があるのです。
カラダとカラダの戦いの先にあるのは、病気に勝った・負けたではなく、「命の尊さ」という感動だと信じています。
手あての医療で溢れるセカイを目指して、今日もどこかでフィジカルクラブを開催しています。