息切れで来院した患者、こんなときどんなフィジカル?

89歳男性、2週間前からの労作時息切れ、4日前から前胸部不快感を認める患者。病歴から鑑別を挙げ、鑑別診断からとりにいきたいフィジカルを検討します。そしてベッドサイドで実際に診察してみる。今回も症例ベースの検討会でした。

大動脈解離と身体診察

大動脈解離を示唆する3つの因子

1)引き裂かれるような痛み

2)脈拍の欠損、あるいは血圧の左右差(20mmHg以上)

3)胸部レントゲンで縦郭の拡大所見

3つの所見がすべてなければ、大動脈解離は否定的(LR=0.1)

3つの所見がすべてそろえば、大動脈解離は決定的(LR=65)

 

A型解離(B型ではなく)の可能性を上げる3つのフィジカル所見

1)収縮期血圧が100mmHg未満(LR=5)

2)大動脈弁逆流の心雑音(LR=5)

3)脈拍の欠損(LR=2.3)

以上マクギーのフィジカル診断学より抜粋です。今回の患者さんは大動脈解離ではありませんでしたが、胸部不快感を訴える患者には必須のフィジカルと言えるでしょう。

さらに拍動性に気管が揺れるOliver徴候がとれればなお大動脈解離の可能性が上がります。

回診も身が引き締まるフィジカル所見をたくさん認めました。

次回もベッドサイドで学びましょう!!