第6回桶狭間’nRollはいつだって大歓迎だカンファレンス

これがないと1年は終われない。

1年で最も難解で面白い症例検討会ONRC今回は福岡県大手町病院で開催されました!

5つの症例を西軍、東軍、九州軍、宇都宮軍で検討し診断に迫ります。

提示された症例の振り返りをここでは行います。

 

症例1.パリトキシン中毒

50代女性急性の全身痛(筋痛)で来院した患者。その原因はブダイ摂取によるパリトキシン中毒でした。

▶原因

ブダイ、アオブダイなどの摂取による。原因はシガテラ中毒に似て、藻を摂取したさかなが食物連鎖で蓄積し、摂取することによる。

加熱しても毒性は失われない!

▶症状の特長

摂取後3-36時間、筋痛、筋力低下、横紋筋融解症がメインで消化器症状を欠くのが特長。重症例では呼吸困難、不整脈、腎不全。

▶治療

特異的な治療法はなく、対症療法のみ。

症例2.巨大肝血管腫

1ヶ月以上続く発熱、乾性咳嗽を主訴に来院した患者。巨大肝血管腫(内出血)による発熱。

巨大肝血管腫が発熱することはまれとされていますが、今回の症例は自然経過で解熱し、画像上も縮小を認めておりました。

 

症例3.Candida Albicansによる気腫性腎盂腎炎

ポイント

・通常はカンジダが尿で検出された場合、尿路感染の起因菌とはならずコロナイゼーションと判断する。ただし判断の根拠を「貪食像がないから」とはしない。尿では白血球の貪食像が落ちるため、貪食の有無で感染の判断をしてはならない。

・免疫抑制患者(今回はコントロール不良の糖尿病、ステロイド使用)の場合、好中球減少の患者などの場合考える

症例4.Marchiafava-Bignami病

アルコール多飲患者の脳梁膨大部の脱髄壊死を特長とする疾患。ビタミンB1や微量元素不足による。

画像が特徴的で、Google検索すると鬼のようにMRI画像が出てくる。

ウェルニッケ脳症やアルコール離脱せん妄に症候は似ており、意識障害、痙攣などの症状を認め、ウェルニッケ脳症での中脳水道周囲に対し脳梁に一致して高信号を示す。

 

症例5.卵円孔開存によるplatypnea orthodeoxya syndrome

胸部・腹部大動脈瘤、大動脈弁狭窄症を背景に持つ80代女性、呼吸困難を主訴に来院。

病名からは起き上がると息苦しいという病気ですが、そんな都合よく起き上がって苦しく、横になると楽になることは現実は起きず。患者は労作時呼吸困難で来院。そうです、歩行は起き上がらないと出来ませんので、なかなか気がつくのは簡単ではありません。

疑った際にはまず丁寧に臥位と座位の呼吸回数、様式、SpO2を比較します。今回は経食道エコーが決め手となりました。

高齢者・亀背・大動脈拡張これらが問題になることが多く、高齢者の呼吸困難や入院中に酸素化の改善が乏しい場合には検討あれ!